焼津小泉八雲記念館 開館10周年記念講演会「21世紀~小泉八雲の旅~」(会場 焼津文化会館小ホール)

■中央が、講演者のロジャー・パルバース氏

2017年7月9日、小泉八雲の生涯を小説として描いた作品『旅する帽子ー小説ラフカディオ・ハーン』の作者で、劇作家・演出家・映画監督としても活躍するロジャー・パルバース氏を講師に迎えた、焼津小泉八雲記念館開館10周年記念講演会に参加しました。

講師のロジャー・パルバース氏は、米国出身のオーストラリア作家で、1967年より半世紀を日本で過ごし、大島渚監督との知遇を得て、映画『戦場のメリークリスマス』(1983)の助監督を務める。主な著書に、『もし日本という国がなかったら』『英語で読み解く賢治の世界』など多数。日本語で執筆した小説『星砂物語』が自身の監督で映画化、今年夏に公開予定。

今回の講演で感じたのは、ラフカディオ・ハーンの作家としての捉え方が、日本人と彼(英語文化圏の人間)とではかなり違いがあるのだということです。具体的に言えば、ハーン文学の面白さというか、文学的な評価は、アメリカ時代の作品を抜きにしては為し得ないということを強調されたというこです。

日本語に翻訳された言葉でハーン文学に接する以上、英文学として、即ち英語という言葉を駆使した芸術という視点でのハーン文学の神髄に触れることはなかなか難しいということなのでしょうか。ハーンの代表作は、何と言っても日本に来てからの一連の作品(「知られぬ日本の面影」~「神国日本」)だと考えがちですが、確かにこれがハーンの書いた作品のすべてではないことは確かです。(日本時代のハーン文学が「英語で書かれた日本文学」だと評価されることの裏返しの表現とでも言えそうです。)

アメリカ時代に書かれた彼の作品は、現在『ラフカディオ・ハーン著作集』(恒文社)の中で読むことが出来るので、翻訳ではあるが、そうした視点で、改めて読んでみようと思いました。

講演会の後、小泉八雲記念館で、焼津の「小泉八雲顕彰会」の方々との交流を深めることができました。



■途中、掛川の「花鳥園」での会食。

2017年07月15日