名古屋八雲会ブログ
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小泉凡さんを囲む懇親会
名古屋八雲会 忘年会
2017年12月19日、第七回名古屋八雲会定例会の後、新栄町の「民芸割烹 八雲」にて忘年会をしました。但し、この「八雲」は小泉八雲とは無関係で、初代店長の出身地(北海道八雲町)からの命名らしいです。
このお店は、昭和36年創業の、名古屋ではじめて『しゃぶしゃぶ』を提供したという、風格のある民芸調のお店です。店内には、棟方志功・芹沢銈介・河合寛次郎といった著名作家の作品が部屋の各所に飾られ、個室ごとに異なった情趣を楽しめます。
芹沢銈介氏のデザインによる屋号『八雲』
「すすぎ鍋」(しゃぶしゃぶ)
「すすぎ鍋」というネーミングの『しゃぶしゃぶ』は、火力に備前炭を使い、厳選された牛肉のおいしさは格別で、この日の忘年会も大層盛り上がりました。
名古屋八雲会に於ける今後の活動の方向性についての議論も充実したものになりました。
焼津小泉八雲記念館 開館10周年記念講演会「21世紀~小泉八雲の旅~」(会場 焼津文化会館小ホール)
■中央が、講演者のロジャー・パルバース氏
2017年7月9日、小泉八雲の生涯を小説として描いた作品『旅する帽子ー小説ラフカディオ・ハーン』の作者で、劇作家・演出家・映画監督としても活躍するロジャー・パルバース氏を講師に迎えた、焼津小泉八雲記念館開館10周年記念講演会に参加しました。
講師のロジャー・パルバース氏は、米国出身のオーストラリア作家で、1967年より半世紀を日本で過ごし、大島渚監督との知遇を得て、映画『戦場のメリークリスマス』(1983)の助監督を務める。主な著書に、『もし日本という国がなかったら』『英語で読み解く賢治の世界』など多数。日本語で執筆した小説『星砂物語』が自身の監督で映画化、今年夏に公開予定。
今回の講演で感じたのは、ラフカディオ・ハーンの作家としての捉え方が、日本人と彼(英語文化圏の人間)とではかなり違いがあるのだということです。具体的に言えば、ハーン文学の面白さというか、文学的な評価は、アメリカ時代の作品を抜きにしては為し得ないということを強調されたというこです。
日本語に翻訳された言葉でハーン文学に接する以上、英文学として、即ち英語という言葉を駆使した芸術という視点でのハーン文学の神髄に触れることはなかなか難しいということなのでしょうか。ハーンの代表作は、何と言っても日本に来てからの一連の作品(「知られぬ日本の面影」~「神国日本」)だと考えがちですが、確かにこれがハーンの書いた作品のすべてではないことは確かです。(日本時代のハーン文学が「英語で書かれた日本文学」だと評価されることの裏返しの表現とでも言えそうです。)
アメリカ時代に書かれた彼の作品は、現在『ラフカディオ・ハーン著作集』(恒文社)の中で読むことが出来るので、翻訳ではあるが、そうした視点で、改めて読んでみようと思いました。
講演会の後、小泉八雲記念館で、焼津の「小泉八雲顕彰会」の方々との交流を深めることができました。
■途中、掛川の「花鳥園」での会食。
愛知大学シンポジウム
2017年3月18日(土)、愛知大学綜合郷土研究所主催のシンポジウムに参加しました。
第一部として、小泉凡氏(小泉八雲の曾孫)の基調講演(「地域資源としてのふしぎ文学~小泉八雲と怪談の活用をめぐって~」が行われました。
今回のテーマは「地域で語り継がれてきた民話は、今日に至って話者が減少して静かに消えゆくものが少なくないなかで、私たちはどのようにして民話の豊饒な世界を先人から受け継ぐとともに、今日的な資源として活用し、次世代に受け渡していけばよいだろうか」を模索することです。
講演の中で小泉凡氏が語られた、ハーンの遍歴とその超自然文学に関する興味深いお話しの中で特に印象に残ったのは、ハーンが残した次の言葉です。
「とにかく、千年という長い月日を生きつづけてきた伝説だ。しかも、その伝説が、むかしからそれぞれの世につれて、ますます新しい魅力を加えてきた説話であってみれば、なにかしらそのなかに真理を含んでいればこそ、長く生命を保ってこられたわけなのではないか」(平井呈一訳「夏の日の夢」『東の国から』)
「名古屋八雲会」として、今われわれがなすべきことは、小泉八雲がわれわれに残してくれた貴重な文化的遺産の中に込められた「真理」の光を探り当て、その光を消さずに後世に残していく為にはどの様なことしていけばよいかを早急に考えることだと思いました。
第二部は、文芸評論家、怪談専門誌「幽」の編集顧問で、「ふるさと怪談トークライブ」代表の東雅夫氏と、「ふしぎ文学半島プロジェクト」を5年にわたり実行している、田原市中央図書館館長の豊田高広氏が加わり、さらに愛知大学綜合郷土研究所・研究員の内浦有美さんの司会で、本テーマに関しての実践的な例や地域と民話の未来について活発なパネル・ディスカッションが行われました。
講演に先立ち、村田清水氏の薩摩琵琶による「おしどり」(小泉八雲作『怪談』より)が上演されましたが、これもとても印象に残りました。
「名古屋八雲会」として、打上げの懇親会に参加させていただきました。
中央が小泉凡氏、左端が豊田高広氏
中央が東雅夫氏