愛知大学シンポジウム

2017年3月18日(土)、愛知大学綜合郷土研究所主催のシンポジウムに参加しました。

第一部として、小泉凡氏(小泉八雲の曾孫)の基調講演(「地域資源としてのふしぎ文学~小泉八雲と怪談の活用をめぐって~」が行われました。

今回のテーマは「地域で語り継がれてきた民話は、今日に至って話者が減少して静かに消えゆくものが少なくないなかで、私たちはどのようにして民話の豊饒な世界を先人から受け継ぐとともに、今日的な資源として活用し、次世代に受け渡していけばよいだろうか」を模索することです。

講演の中で小泉凡氏が語られた、ハーンの遍歴とその超自然文学に関する興味深いお話しの中で特に印象に残ったのは、ハーンが残した次の言葉です。

「とにかく、千年という長い月日を生きつづけてきた伝説だ。しかも、その伝説が、むかしからそれぞれの世につれて、ますます新しい魅力を加えてきた説話であってみれば、なにかしらそのなかに真理を含んでいればこそ、長く生命を保ってこられたわけなのではないか」(平井呈一訳「夏の日の夢」『東の国から』)

「名古屋八雲会」として、今われわれがなすべきことは、小泉八雲がわれわれに残してくれた貴重な文化的遺産の中に込められた「真理」の光を探り当て、その光を消さずに後世に残していく為にはどの様なことしていけばよいかを早急に考えることだと思いました。

第二部は、文芸評論家、怪談専門誌「幽」の編集顧問で、「ふるさと怪談トークライブ」代表の東雅夫氏と、「ふしぎ文学半島プロジェクト」を5年にわたり実行している、田原市中央図書館館長の豊田高広氏が加わり、さらに愛知大学綜合郷土研究所・研究員の内浦有美さんの司会で、本テーマに関しての実践的な例や地域と民話の未来について活発なパネル・ディスカッションが行われました。

講演に先立ち、村田清水氏の薩摩琵琶による「おしどり」(小泉八雲作『怪談』より)が上演されましたが、これもとても印象に残りました。


「名古屋八雲会」として、打上げの懇親会に参加させていただきました。

中央が小泉凡氏、左端が豊田高広氏

中央が東雅夫氏

2017年04月03日